企業が持続的に発展していくためには、組織を牽引するリーダーが輩出され続ける仕組みが必須です。多くの企業が、「次世代リーダーの育成」を重要な経営課題として捉えていることでしょう。
企業の変革を支援するIndigo Blueは、これまで「会社を変えたい」「次代を継ぐリーダーを育てたい」という経営者の方に多数お会いしてきました。
多くの企業が次世代リーダー育成の重要性を認識しているにもかかわらず、実際に育成に着手できていない、理想の半分も実現できていない、と語ります。
しかし、今や次世代リーダー育成は企業にとって「待ったなし」の最重要課題です。なぜ今次世代リーダー育成が重要なのか、実際にどのような育成プログラムが必要なのか、Indigo Blueの知見をもとに全5回に分けて解説します。
▼Indigo Blueの次世代リーダー育成コラム
【第1回】次世代リーダー育成こそ企業の最重要課題|意図的な育成が必要な3つの背景 |
第2回は、次世代リーダーの育成ステップについて解説します。
Contents
次世代リーダー育成の5つのプロセス
次世代リーダーを育成していくステップとして、一般的に以下5つがあげられます。
- 候補者を選抜する
- 自社の歴史である「DNA」を確認させる
- マネジメント手法を含む経営総合力を習得させる
- 他社の優秀な人材と切磋琢磨させる
- 社内での認知度・納得感を高める仕事をさせる
これらは、社内教育でしか身に着かないもの、ビジネススクールなどの外部資源を活用した方が効果的なものとに分かれます。
それぞれのステップについて具体的にご紹介します。
1.候補者を選抜する
まずは将来のリーダー候補として期待される候補者を選抜します。これまで企業で一般的に採用されていたのは、以下の選抜手法です。
【次世代リーダー候補者の選抜手法例】
- 人事評価制度
- 上司の推薦
- 自薦
- 社内公募制度
これらは、社内で活躍している人材を社内の基準で選抜する方法です。すでに一定の実績をあげている人材の中で、今後さらに成長が期待できるポテンシャルの高い人材を自薦・他薦するものでした。
近年では、多数企業で人材育成を実施する研修企業などから、人材の第三者評価を受ける方法も広がっています。
株式会社Indigo Blueが提供する実践力のリアルタイムシミュレーション「Business eXperience Gates(BXG)」では、リーダーとしての個人の実力を診断し、リーダーとしての素養をプロのアセッサーが評価して企業にフィードバックしています。受講生の現時点での力量と、今後の開発領域を明らかにすると同時に、他社人材と比較した競争力のある候補者を選抜する判断材料にもなります。
社内での評価と客観的な第三者評価を組み合わせることで、より期待値の高い次世代リーダー候補者を選抜できるでしょう。
2.自社の歴史である「DNA」を確認させる
選抜された次世代リーダー候補者へ、自社の「DNA」を浸透させます。企業のパーパスや歴史を深く理解することで、将来の経営幹部としての自覚とマインドを身に着けます。
具体的には、以下のような手法が考えられます。
【自社DANを浸透させる取り組み例】
- 期間を設けて経営者の「カバン持ち」を経験する
- 過去の中期経営計画をひも解く
- 現職の役員の人の講義を受ける
自社を牽引するリーダーとして身に着けるべき精神やカルチャー、行動規範を身に着けます。
これら企業DNAの浸透は、自社で取り組むべきプロセスです。何を、どのように習得させていくかというプロセスそのものに、企業のオリジナリティや重要なマインドが反映されます。人事部や人材開発室だけでなく、現業部門やブランディングチームなどと協業し、DNA浸透のプロセスを構築するとよいでしょう。
3.マネジメント手法を含む経営総合力を習得させる
会社経営を担うリーダーとして活躍していくためには、限定的な専門性だけでは不十分です。経営者として適切な判断ができるよう、経営管理に関する網羅的な知識習得を促します。
次世代リーダーが身に着けるべきスキルは多岐にわたりますが、代表的には以下のような内容があげられます。
【次世代リーダーが身に着けるべきスキル例】
- 事業戦略に関する知識
- 財務・会計に関する知識
- 組織・人材マネジメントに関する知識
- コンプライアンスに関する知識
- リーダーシップ
- 決断力
- 先見性
- レジリエンス
- 論理的思考力
これらのスキル習得に関する訓練をすべて社内で実施するのは非効率です。経営管理スキルを総合的に学べる外部のマネジメントスクールなどを活用し、候補者の基礎体力をつけるとよいでしょう。
4.他社の優秀な人材と切磋琢磨させる
外部のマネジメントスクールを活用することで、他社の優秀な人材と切磋琢磨させる経験を積んでもらうことも可能です。
これまで社内で成績をあげることが求められてきた候補者たちも、次世代リーダーとして活躍するためにより他社との競争を意識していく必要があります。社外の人材と切磋琢磨する場を設けることで、社内で評価されている自分が他社でも通用するのか、他社の人材と比べた強みや課題を自覚することができます。
上記の効果を得るためには、座学だけでなくグループワークや体験プログラムの充実した外部研修を活用すると良いでしょう。各企業の次世代リーダー候補が学び合うIndigo Blueの「異業種 Future Leaders 共創塾」などに参加し、他流試合による気づきを得ると効果的です。
5.社内での認知度・納得感を高める仕事をさせる
最後に、候補者たちが次世代を担うリーダーであることを社内で認知してもらうために、新たなポジションに就かせる工夫も重要です。マーケティング出身者に財務や人事などの管理業務を経験させるなど、これまでと異なる挑戦的な人事配置を行います。
将来のトップマネジメントに近いポジションに就ける前提として、社内での納得感や認知度が必要です。自分の専門分野とは違うポジションでもパフォーマンスを発揮できる姿を示すことで、全社的にマネジメントをする人間にふさわしいという認知が広がります。
次世代リーダーに求める経験や本人の苦手分野などを意識しながら、挑戦的なポジションに配置し、総合力を鍛える実践の場を設けましょう。
これらのプロセスを経たうえでマネジメントチームに参画し、更なる成長を促していきます。
次世代リーダーの育成は戦略的に
今回は、次世代リーダーを育成する5つのステップをご紹介しました。
今後の経営を担うリーダーの育成は、所属部門でのOJTだけでは不十分です。次世代リーダー育成を重要な経営課題と位置づけ、継続的に候補者が輩出・成長していく仕組みを戦略的に構築していく必要があります。外部リソースを活用しつつ、全体的なプロセス構築を進めましょう。
次世代リーダー育成プログラムの構築の詳細にご関心のある方は、弊社までお気軽にお問い合わせください。
次回のIndigo Blueの次世代リーダーコラム第3回では、次世代リーダーの役割と定義、人材像について解説します。
▼Indigo Blueの「次世代リーダー育成ソリューション」については、コチラをご参照ください。
▼個の実践力を問うリアルタイムシミュレーション「Business eXperience Gates(BXG)」については、コチラをご参照ください。
記事監修
瀧谷 知之(Indigo Blue 取締役)
トーマツ コンサルティング(現デロイト トーマツ コンサルティング)に入社し、通信ハイテク業界の戦略立案/変革支援に従事。 その後ジュピターTVを経て、ツタヤオンライン、TSUTAYA、カルチュア・コンビニエンス・クラブで経営企画/経営戦略室長として、ネット事業領域を中心に戦略立案や事業改善、新規事業企画、赤字事業の再建/撤退、M&A等を手掛ける。 2010年に株式会社コラビーを設立し代表取締役CEOに就任のほか、パス株式会社の代表取締役COOおよび各グループ会社の代取/取締役を経て現在に至る。今までに上場企業含め9社の代取/取締役を経験している。