管理職は「自分のため」から「チームのため」へ
今日のテーマは「新任の管理職研修」の設計のヒントです。
これまで自分の時間は、自分のためでした。これからはチームメンバーのために自分の時間を使うことになります。これまで個人のパフォーマンスを評価されてきました。これから問われるのは組織としてのパフォーマンスです。それが管理職になるという本質的な意味です。このことをわかってもらう。これが新任管理職研修の肝です。
優秀なプレイヤーであった人ほど切り替えに苦しむことになります。自分が当たり前にやること/できることをできない人が続出するからです。納期を守るといった常識的なことすらできない人もいます。メンバーの尻ぬぐいで自分の仕事が思うようにできない。ストレスが溜まります。口をついて出るのはメンバーの悪口ばかり。そのうち人相も悪くなります・・・。
新任管理職研修の4つの肝
新任の管理職研修のその1は「他人のために時間を使うこと」。マインドチェンジです。
「知識」としてどうあるべきかをインプットした上で、実際にその通りに行動できているかどうかを確認するプロセスとします。確認は多面アンケート形式が最適です。優秀な方々ですから、頭では理解するはずです。ただし、行動が伴わないのです。これを放置すると、結果として本人もその人のチームも疲弊することになります。
その2は「他人のことを慮る」、心のもちようとスキルの確認です。他人のために時間を使うことになっても、その関わり方が良くないと組織運営的にはマイナスとなります。まずは、そもそも指向性は人それぞれということを知る。ここからです。このためにマネジメントプロファイラー(MP診断)のような分析ツールは有効です。
その上で、メンバーの話を聴くためのスキルを確認・習得します。相手の話をさえぎらない、頷いて聞く、表情を使って反応する、相手の話をさっとまとめて確認する・・・等々。テクニックを学んだ後はロールプレイで実践します。
その3は「必要な知識を得る」こと。代表的なものは「労務管理(労働基準法、ハラスメント、メンタルケアを含む)」、「予算管理」、「情報管理」、「社内ルール」です。これらはe-learningで良いでしょう。効果測定はもちろん必要です。
その4は「個人としての処理能力・スピードを上げる」ためのトレーニングです。プレイヤー時代よりも自分のために使える時間が減ります。管理職になったとはいえ、プレイヤーとしての部分も残っているはずです。メールの処理時間、資料の作成時間、プレゼンの準備などの時間を大幅に短縮し、かつ成果を上げることが求められます。このために、インプットからアウトプットまでの時間を短縮するためのトレーニングを設けます。
「その1」から「その4」を意識して新任管理職研修を企画すると、1日で収まるものではないことは自明ですね。集合型でやる必要がないものもあります。「その4」はスキルトレーニングなので集中してやったほうがいいです。ちなみにアラフィフの学び直しのPHAZEリカレントでは10週間、このトレーニングを週4回やります。このやり方が良いように思います。また、一定期間経過後にふりかえりと効果測定の機会を設けることをお薦めします。
管理職が機能しているか、疲弊しているか。この違いが組織のパフォーマンスを決めます。新任管理職研修の企画は組織マネジメント上、とても重要な施策なのです。
おまけ
おまけー1:PHAZEリカレント第3期の最後の説明会を9月29日(水)の朝7時から8時の枠で行います。まだ参加できます。関心のある方は「PHAZEリカレント」で検索をお願いします。
おまけー2:日経のコラムです。「会社人」ではなく「社会人」に
https://www.nikkei.com/persons/%E6%9F%B4%E7%94%B0%E5%8A%B1%E5%8F%B8
執筆
Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。
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