942号「全員毎日定時に出社せよ、には反対」(メールマガジン「人事の目」)

なんだか人の動きが一気に戻りましたね。先日、インディゴブルーのオフィスがある神谷町で“ランチ難民”になりました。神谷町駅付近のレストランがどこも長蛇の列。お弁当屋さんもそう。コロナでレストランの絶対数は減りました。受け皿が減っているところに需要が戻ってくると、当然そうなりますよね。

この感じ、全員毎日定時に出勤せよ、というムードが強まっているのかもしれません。要注意だと思っています。その方針が優秀な知的ワーカーの離脱を招き、かつ自社の変化対応力を減ずることになりかねません。

自社の仕事が単位時間あたりの報酬に重きを置き、しかも標準化される内容であれば、管理者の目の届くところに来させて、就労時間をきっちり守らせるのはありだと思います。全員毎日定時に出社せよ、でOKです。(エッセンシャルワーカーの場合はその仕事の性質から出社が求められるのは当然です。)

そうでない知的労働やクリエイティブな仕事の場合は違います。その人やチームが最もパフォーマンスを発揮しやすい環境で働いてもらう方がいいに決まっています。そのメリットをコロナ期間中に実感しています。毎日定時に出社せよ、となると“やってられなくなる”と思います。特に優秀な人財であれば引く手あまたの現状です。これが離脱を招きます。

世の中の変化を先読みしていかに対応するか、変化対応力は企業の生命線です。ただ、どうしても自社中心の視野から物事で考え、変化の兆候を見逃しがちです。これに一石を投じたのが「副業解禁」でした。副業を通じて、個々の社員たちが自社以外の目線を持つ機会を得られるわけです。これは自社の変化対応の感度を高めます。

また、副業解禁は会社と社員の関係性を変える一石でもありました。これまでは、“人生を捧げよ”的に忠実を求めていたものを、競合避止などの条件はあるものの“他のこともやっていいよ”に変わり、自分のキャリアを自分で考える機会にもなったわけです。

「副業」は「正業」がある中で自分の就労時間の一部を割くものです。コロナ期間において副業が解禁された背景としては就労時間が減り、減少した収入を補う意味合いが強かったと思います。今後この性質の仕事に就いている人が副業をする場合には正業の就労時間と収入を減らし、正業以外の時間で副業をしてもらう、または正業の所定労働時間以外に(早朝、深夜、休日)副業をしてもらうという整理をすることをお薦めします。

知的ワーカーにおいては単位時間で仕事をしていないので「副業」というよりも「複業」でしょうね。その場合には上記の時間報酬の調整は馴染みません。むしろ、契約形態を業務委託に切り替えて、いろいろなことを同時にやれる環境にした方が良さそうです。


ここまでお読みいただき、お分かりの通り、私は問答無用の「全員毎日定時に出勤せよ」に反対派です。

ただし、組織感情を安定・高揚させるため、または一緒に働く人たちの間の心理的な距離を近づけるために定期的に集まる機会を設けた方がいいと思っています。この最適な頻度は業態、メンバーの成熟度によって異なると思います。インディゴブルーでは月に一度、10時から15時までの5時間を共に過ごす(ランチも一緒にとる)ことにしました。それ以外は各人のスケジュールや私生活の都合から最適な場所で仕事をしてもらう、がいいと思っています。


おまけー1:先週のメルマガで「日本の人事制度を変えましょう!フリーランスの方、副業の方、長らく人事の現場にいて問題意識を持っておられた方、一緒にやりませんか」。と書きました。早速10名を超える方々からお返事いただきました。ありがとうございます。このお誘い。GW明けまで受け付けます。(13日に作戦会議をしますので)

おまけー2:アラフォー以上の学び直しの「PHAZEリカレント」9期の説明会が残り少なくなりました。ポータブルスキルの磨き直しに関心がある方をお待ちしています。
https://phaze.jp/recurrent/isession/



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