『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』、いいですね。第1シーズンから第7シーズンまで改めて全部観ました。大学医局のドラマでは「白い巨塔(田宮二郎版と唐沢寿明版の両方)」と「ドクターX」が好きです。観たいドラマを何度でも見ることができる配信サービスはありがたいです。
この第5シーズンの7話に印象的なシーンがあります。余命僅かと宣告された元恋人に対して、治療よりも一緒に過ごすことを選択している医者に対して、大門美知子が「患者に寄り添ってたって病気は治らないの!」と言い放ちます。
”寄り添う“と言う意味について考えさせられます。
辞書によると「親身になって相手の気持ちを理解しようと努め、共感する」とあります。相手の気持ちを理解しようと努める、ここは良いと思います。共感については時と場合によるのではないででしょうか。
例えば、変革が求められているときに、従来のやり方や行動様式を変えようとしない人に共感はできないと思うのです。その気持ちは理解できても、共感してしまうと変革がストップします。
今や、すべての企業、団体は、これまでやってきたやり方を磨く(「1を守る」、あるいは「1を1.1倍にする」)だけでは立ち行かなくなってきています。現状に甘んじることなく「0から1をつくる」「1をN倍にする」意識、行動が求められています。ただ、その必要性を経営がいくら声高に叫んだとしても、“変えたくない”という層はいます。その人達に対して管理職が共感してしまうと、変革全体に悪影響が及びます。結果的にその会社、団体そのものが沈んでしまうことになりかねません。
上司は部下に寄り添うべき。最近よく聞く言葉です。確かに“俺についてこい”的に牽引するよりも、部下が働きやすい環境をつくる、サポートするのが上司の役割に変わりつつあります。その文脈からすると“寄り添う”はフィットする感じがします。
ただ、期待されていることができていない人に対しては、その気持ちを理解した上で、違うことは違うと伝え、改善のための助言、指導をすることではないでしょうか。それこそが本当の意味での“寄り添い”ではないでしょうか。その人の気持ちを理解し、“そうだよね、辛いよね。”で終えてはいけないと思います。
私も経験がありますが、メンバーに”寄り添う“ことを信条とする中堅社員が、良かれと思いデキないメンバーたちに共感しまくったおかげで、変革にブレーキがかかるどころか、変革への抵抗勢力が組織化されました。その中堅社員は”変えたくない“メンバーたちから信頼され、ある意味で自己実現できたわけですが、経営としては”大迷惑“でした。
人を大切にする、社員はみな家族、という意識が強い会社ほど”寄り添う“を取り違えがちです。要注意です。
おまけー1:オーナー企業でオーナーの参謀たちを対象とする「格さんの会」(水戸黄門の“格さん”から)という勉強会をやってきました。その参謀たち9名が「来るべきAI時代にUseless人材の増殖を防ぐには?」というテーマで提言発表します。12月14日(木)朝8時半から10時(オンライン)です。
「人事の目」の読者の方々に提言発表会を公開します。ご都合よろしい方はぜひご参加ください。
https://forms.gle/mXYqkdYEs9eVHv9b6
(申し込みはこちらから)
おまけー2:12月に入ったというのに、都内各所で銀杏並木が見事です。こりゃ1か月ずれましたね。
おまけー3:累計売上部数350万部!地動説を証明するために自らの信念と命を懸けた者たちの物語を描いた『チ。ー地球の運動についてー』。この漫画の編集者から薦められて「チ。」全巻大人買いしました。なかなか面白いです。(アニメ化も決定したようです。)
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